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2020/11/15

エクスプロア・ニューヨーク ~ タワーオブテラーのアトモスとコンセプトアート


・アトモス『エクスプロア・ニューヨーク』

タワーオブテラーのオープン前には特設サイトtot1899comを始め号外の配布などBGSの紹介に力を入れていたのは周知の通りだろう。その一つがミラコスタのレストラン、オチェーアノで開催されたアトモス『エクスプロア・ニューヨーク』だ。

内容をざっと表せば、ニューヨーク市保存協会の協会員アンナ・メルソンがホテルハイタワーのツアーを宣伝する最中にニューヨークグローブ通信の記者ウィリアムス・ボブキンスが乱入して止めさせようとする筋立てだ。
ホテルの価値を強調する前者とハイタワーの悪行や呪いの存在を主張する後者はベアトリス・ローズ・エンディコットとマンフレッド・ストラングの関係を彷彿されるが、実際にマンフレッドの後輩と称するなどかなり色濃い。

TOTオチェーアノ・バッフェランチ ‐Fortunate Angel
巻き込まれてみました。(その2)‐「しろ」のディズニーシーに行った日だけ日記
エクスプロアN.Y ‐ Piccolomercato
N.Y.C.PS“エクスプロア・ニューヨーク”‐Happy Berry TOWN
オチェに宣伝しに来る保存協会の人‐Pooh横町で逢いましょう
オチェーアノ☆小芝居「エクスプロア・ニューヨーク」‐RYOのTDR日記

そもそも動画自体が少ない上今をきらめく手下や海賊と違いキャラのいないアトモスに注目が集まりにくかった時代のイベント、その元から数少ない記録がサイト・ブログサービスの終了でますます消えていく一方で上記のような記述を読み拾っていく他無い。
そんな状況下、今年の5月にツイッターで動画がアップされるという思いがけない事態が起きた。折角の貴重な記録もツイッターでは流れてしまうのを惜しみ丸々転載したのがこの記事の存在意義という次第(さすがに記事の根幹となると引用の域を超えているので許可を得たが…数ヶ月経ってしまったのは申し訳ない限り)。

上記の記録でも内容に触れられる(実際こうして当時を知らない若造が後世から知ることができたのだから本当にありがたい)が、断片でもやはり動画だと様子が生き生きと伝わってくる。それにニューヨーク各地の紹介もここまではっきりしていたとは知らなんだ。

開園当初のメイヤーや2016年のコロンビア乗客などテーマポートの世界に足がついた住人系アトモスとしてこのエクスプロア・ニューヨークは逸品と再確認できる。…会長や記者もライブキャラとしてニューヨークに登場してくれないものかねえ。

それに、タワテラのBGSはオープン以降活用される頻度はグンと減ったのでこうして存分に用いる様子を見るとつくづく現在との違いを実感させられる。
ホテルアメニティ系グッズはとうに壊滅、レベル13も結局は動きの変化に過ぎずフルニ活用されているとは言い難い。会長はタートルトークの新聞やミステリアスマスカレード2009(『会長からの伝言がある!』)でかろうじて触れられるが記者は名前すら見かけない。オープン前の攻勢はあくまで紹介のためと言われればそれまでだが、ここまで作り込んでおきながら勿体ない限り。
こうして紹介するアトモスを見ると、タワテラに限らないがゲストがBGSに気づく補助線、テーマポートの世界により一層入り込む手助けとしてのアトモスを各テーマポートに常駐させてもいいんじゃないのかと思うのだ。
まあ、アトモス自体が厳しい有様なので夢物語に過ぎないが…。





















・タワテラのコンセプトアート
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オチェーアノ☆小芝居「エクスプロア・ニューヨーク」‐ RYOのTDR日記より。同記事のブロードウェイミュージックシアターの外観は写真だがホテルハイタワーの書斎はご覧の通り絵。

アンナは説明の際にボードを使っているが、アメフロ各所は写真だがタワテラは絵を用いてる。
このアトモスの特徴としてBGSの紹介ともう一つ、コンセプトアートが使われているのではないかと考えている。というのも写真や既存の宣伝絵以外にアトモスの為だけにこのような立派な絵を新調するとは考えづらい。それにコンセプトアートをイベントに用いた前例があるからだ。

2007年のディズニーアラカルトではガルガンチュアのスクリューのたもとにアメフロ各所を描いた絵が飾られた。
これが出版物でよく見るコロンビアを含めコンセプトアートだったのだ。他の書籍で見ない類、それも現行と様相が違う物も多数ある点が注目に値するのでアラカルトの飾り‐K&D やぐに掲載されている写真をこれまた許可を得てそっくり転載。

アラカルト2007
↑全景。まさかこうしてしれっとコンセプトアートが飾られるとは…。

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↑ブロードウェイミュージックシアターの外観はイベントの4年後に出版された 『東京ディズニーシー 10周年クロニクル』に掲載されたコンセプトアートそのもの。

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↑同上に掲載のブロードウェイの夜景。ゲストと共に夜会服姿の紳士淑女が描かれて雰囲気が出ている。

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↑ハーバー側から見たニューヨークデリか?

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↑レストラン櫻と思われるが大部分が隠れているのが惜しい。

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↑国旗をふんだんに飾ることからセイリングデイブッフェだろう。中央上部の貨物は変わらないが大統領の演説台となったトロッコの線路は無い模様。

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↑これまでコンセプトアートが皆無だったルーズヴェルトラウンジも!オーシャンライナーの喫煙室の雰囲気を醸し出すシックな現行と違い酒場・ロッジ風。左上の戦艦の模型にも注目。カウンター席が鞍なのはルーズヴェルトの「カウボーイ」要素だろうか。バーテンダーの風体がルーズヴェルト本人なのは御愛嬌。

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↑『アートで楽しむ東京ディズニーリゾート』などでおなじみのコロンビア。コロンビアはコンセプトアートの露出に恵まれないが、まあ、全く見ない物もあるのだからあるだけマシというものだが…。

いささか脱線したが、このような前例がある以上、劇中で用いる絵はタワテラの物ではないかと推測する次第。


↑Tamas氏はタワーオブテラー各所の写真の元ネタ(#タワテラ元写真‐Twitter)やTOT1899.comを制作した電通の下請け会社など次々と発掘するすごい方。

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JUST ANNOUNCED D23 Celebrates 65 Years of The Disney Theme Park - D23より。左下がアメリカンウォーターフロントのニューヨークとケープコッドを描いたコンセプトアート。

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エクスプロアN.Y ‐ Piccolomercatoより。ボードに注目。

そんなことを言うだけ言って数ヶ月放置している間に動きがあった。
本国のD23の会員に配布されたポストカードの一枚がアメフロを描いた物だが、よくみるとウォーターフロントパークやエレクトリックレールウェイの形状が違う。タワテラも現行のごった煮様式ではない姿で描かれていることにより初期アメフロを描いた物とわかる。
初期タワテラについては過去記事D23 Expo Japan 2015企画展『東京ディズニーリゾート特別展示』も参照。

これが実際使われているとツイッターで指摘があった。つまり推測が当たっていたわけで、実際このアトモスは二つの意味で見どころが満載と言えるだろう。


・蛇足
D232015のTDR展ではOLCにはシー建設中の資料が無いと聞いていた。しかしこうして開園以降もコンセプトアートを小道具として使っている様子から想像を飛躍すると、OLCはコンセプトアートをそれなりに、あるいはそうと知らず抱えている可能性があるのではないかとふと思う。
もちろんすべての絵がコンセプトアートとは即断できない。イベントの都度本国から資料の提供を受けていることだってありえる。だが、少なくとも過去のイベントを洗う価値はあるだろう。
東京ディズニーシーの創造過程が非常に乏しい現状ではコンセプトアートは断片的でも辿る術となる貴重な存在なので、こうして
だからなぜD23EJ2015のTDR展で図録を出さなかったのかと…。

ヒストリータグコレクション
↑やよいさんによる#TDR_historyタグのまとめ。これだけの量をまとめるだけでも労力がいることだろう。

今回の記事はいつも以上に全力で先人におんぶにだっこな記事と相成ったわけだが、先人の残した記録とそれを伝える事は大事と改めて実感する。
特に舞浜はサイトやブログなどゲスト側の記録の比重が高いが、相次ぐサイトサービスの終了で先細りになる一方。現在主流のツイッターに新しくアップされても濁流に呑まれて流れしまう傾向が高い。
だからこそ辿る術を断ち切らないためにも出典の表記は大事といつも口を酸っぱくして繰り返しているのだが…それはまあ、いつも繰り返しなので以下略。でも心の片隅に置いとくべきことは確か。


今回の記事は、ツイッターが会長や記者の絵に仮装にとタワテラ尽くしだった(Twilog参照)のでそういえば自分も途中だったわ!と奮起してようやく完成した次第。こうしてタワテラを浴びると初心に戻った気分になる。
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2020/04/18

ドックサイドダイナーの小部屋の写真


去年久方ぶりにシーに行ってセイリングデイブッフェ改めドックサイドダイナーの様子を初めて見てきたが、主な新要素である作業場側とオフィス側の作り込み、特に小部屋の写真類についてつらつらと書いていく。重箱の隅突きは重々承知の上で、まあ今まで通りオタクが机上でこねくり回したお遊びと捉えるのが吉かと。

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↑小部屋のクランクの写真。

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↑【参照】タートルトークのThe Newyork Shipping Gazetter誌。右上に上記と同じブリタニックのクランクの写真。

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↑グレートブリテンのスクリューやボイラーなどの図解。下にTHE "GREAT BRITAIN" STEAM SHIPの表記あり。

正面向かって右側の作業場ではタートルトークのキューライン(2枚目右上)でも用いられるブリタニックのクランクなどが見られるが、ブルネルのグレートブリテンはいただけない。なにせコロンビアより70年も前の船であまりにも年代が離れすぎており解釈(というよりこじつけ)しようが無い。
ちなみに小部屋以外を見るとセイリング時代は屋外だったクランクが屋内に取り込まれている。




次にオフィス側。写真を撮ってなかったので引用で失礼するが、3枚目のポスターはルシタニアをそのまま用いている。普通作り込みのポスターは多少は手を入れるのだが、このままだと「自社のオフィスに他社のポスター(しかもなぜか仏語版)を貼る」ことになってピントのぼけがすごい

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↑【参照】ルシタニアのポスター(Cunard Line - Lines Directes Vintage Poster Great Britain (24x36 Giclee Gallery Print, Wall Decor Travel Poster) - Walmart.com)。同じカッタウェイを使った"To All Parts of the World" の方がメジャー。

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↑【参照】アキタニアのポスター(Cunard Line - to all parts of the world Gutersohn, Ulrich V&A Search the Collectionsより)。

ルシタニアのカッタウェイはアキタニアとほぼ同じだがブリッジが識別ポイント(幅広がルシタニア、幅狭がアキタニア)。もっともキュナード自身が図版をほぼ使い回しているので識別自体はあまり重要ではない。

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↑「現代の客船の構造」。下の模型?写真の船名に注目。

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↑【参照】竣工後のインペラトール(IMPERATOR - Library of Congressより)。

断面図と模型の写真を載せた図版のタイトルは「現代の客船の構造」だが船名からインペラトール、さらに救命艇が一列のみ(タイタニックの事故後に増設)であることから初期案とわかる。これは年代的に合致しているので文句なし。

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↑小部屋の船尾の写真。

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↑【参照】タートルトークのコロンビア船尾の写真。アトラクションを反映して海底展望室が加えられている。

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↑【参照】進水直前のブリタニック船尾(MaritimeQuest - HMHS Britannic (1914) Page 4より)。

船尾の写真は作業場側のクランク同様ブリタニックだが、タートルトークと同じ、それも海底展望室が無い元ネタ(3枚目)そのままで大幅減点。素材の使い回しはしばしばあるので一概に手抜きとはいえないが、さすがに隣の施設で大々的に使う写真の加工前をそのまま持ってくるのはお粗末にすぎる…。


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↑小部屋の写真。下が問題のタイタニックの写真。

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↑【参照】処女航海でニューヨーク港に入港するルシタニア([LUSITANIA arriving in N.Y. for first time, Sept. 13, 1907 bow & portside view at dock; welcoming crowd] Library of Congressより)。

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↑埠頭中央のダビット広告。中央の"OLYMPIC FIFANIO"に注目。

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↑ダイニングのメニュー。左の一番下がトン数。

最大の問題はタイタニックが用いられていること。コロンビア周りの作り込みでタイタニックは文字の加工(埠頭中央のダビット広告がTITANIC→FIFANIO)やトン数の引用(ダイニングルームのメニュー)をしつつ姿そのものは避けてしてきたから、ここにきてポンと出すのは違和感MAXなのだ。

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↑作業場の写真。撮影時のピンボケではなく現物でこの粗さ。

タイタニックはオリンピックとのポスターや作業場側でも多用して何だかなあ…とモヤモヤし通し。しかも写真の粗さもあいまって、素材の使い方がだいぶチャチくなった印象が強い。

まあ、実際のところ作り込みのインスピレーション源については構図やシチュエーションとその資料の関係で偏っただけであり客船オタクの勘ぐり過ぎという可能性はぬぐえない。(中略)しかしながらこれだけは言いたい。一体どこにわざわざカラースキームまで作るフィクションがあるのか。そして単なるコピーではなく作品として昇華させた事例なんて他にあるのか。だからこそコロンビアが「オーシャンライナーそのものを題材にした最高のエンターテイメント」であることは確かだ。
                         『合衆国汽船コロンビア号』



概してドックサイドダイナーの作り込みの新要素は年代(一応コロンビアの就航した1912年前後を用いている)など頑張ろうとはしている。しかし『合衆国汽船コロンビア号』で書いたように客船オタクが勘ぐり過ぎることができた、そして惚れ込むことができた既存のこだわりからだいぶ後退しているのもまた事実といったところ。
まあ、埠頭中央のカラースキームや貨物、ルーズヴェルトの演説台など既存の作り込みはほぼ無事なので、絶対国防圏は守られたから良しとする他あるまい…。


2020/03/29

C98中止のお知らせと今後の予定?

コミックマーケット98の開催中止について

コロナ騒動でGWコミケが流れたため新刊予定だった『紙物資料で辿る客船の黄金時代(仮)』はお流れとなりました。
今年中には何らかの形で出したいと思いますがイベントの予定すら根本から崩れているのでどうなることやら…。

というわけで閑話休題、これ以外のネタ出しをつらつらと。発破をかけるつもりなのか単なるメモなのか、実現の可能性の有無すら確かではないが全ては今後次第ということで。


【出せたらいいな・その1】
『天地"春"黄―天洋丸型客船』

天洋丸パンフレット (1)
↑天洋丸型のインテリアを紹介するパンフレット"SHINYO MARU TENYO MARU AND TENYO MARU"

タービン、重油専燃、1万トン級…数々の初物のタイトルを持つ天洋丸。日本の客船史におけるエポックメイキングについて、インテリアを紹介するパンフレットの再録を中心にまとめる。

【出せたらいいな・その2】
『伏見姫の御姿―伏見丸と欧州航路』

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↑日本郵船の社史『創立満三十年記念帖』。当時最新の伏見丸が紹介されている。

欧州航路は日本郵船の看板でもある重要な航路だった。建造当時の社史で大々的にクローズアップされた伏見丸を核に他の客船の絵葉書やメニューなども用いて主に戦間期の欧州航路の様子をまとめる。


【出せたらいいな・その3】
『オイローパダイニング―1938年のとある欧行』

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↑日本からアメリカを経由してドイツまでのパンフレットなどが一揃い組になっている。

客船の紙物は単体でも十分だがセットだと当時の旅行の過程を辿ることができて情報密度が増す。オイローパの丸ごと一航海分の朝昼晩メニューを中心に船内案内、大陸横断鉄道やホテルなどの各種紙物からとある欧行の一端に触れる。

客船以外にディズニー関係では郵船博物館のグッズを手本にコロンビアの船上でいかにも用いられていた便箋やメニュー風に仕立てる『合衆国汽船レターセット』(要は同人便箋)か。他に『同人界隈におけるディズニー忌避風潮』のリファインもあるが…これは精神衛生上大変よろしくないので全力で後回し。

何年かかるか見通しすら立たない橿原丸本の完全版(なので現行版は今のうちさっさと買うのが吉かと)も待ち構えているが、まあ同人を出すのは年一でいっぱいいっぱいなのでネタには事欠かないのは確か。
大変なご時世ですが、自分のできる範囲でやっていきたいので今後ともよろしくお願いします。
2020/01/17

冬コミのお礼と新刊『橿原丸と出雲丸の覚書 内装編 改訂版』委託のお知らせ

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↑当日のサークルの様子。小物入れの18周年缶が数少ないディズニー要素。

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↑Comike Web Catalog 97よりヨ日目西2ホール「す」の「船サークル船団」の様子。

遅くなりましたが冬コミはありがとうございました。
艦船、アニメその他、再び艦船と申し込みジャンルを渡り歩き今回は交通の船舶系だったが、連絡船、砕氷船、クレーン船、捕鯨船、タグ、コンテナ船、内航船、そして我がオーシャンライナーと船舶系サークルが多数参加して「船サークルの船団が組まれた」の例えが言い得て妙なほどだったのが強く印象に残る回だった。
しかもお隣は初めてコミケにサークル参加した5年前のC90でもお隣同士だった『鯨追う艦』のサークルさんという奇遇も!
「参加し続ければ増える」の言葉をかみしめつつ次につなげていければと思います。

【委託の案内】
寝古鉢鉄工所 葉ノ瀬 橿原丸と出雲丸の覚書 内装編 改訂版 - とらのあな全年齢向け通販


今回の新刊『橿原丸と出雲丸の覚書 内装編 改訂版』の通販がとらのあなで開始しましたのでよろしくお願いします。
他にも書泉グランデなどに委託する予定ですので決まり次第順次案内します。
2020年3月更新
書泉グランデと秋葉原のイエローサブマリンに委託しました。


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『橿原丸と出雲丸の覚書 内装編 改訂版』
オフセット、B5、96ページ
カラー口絵:8p(カラースキーム12点)
モノクロ口絵:14p(図面9点)

戦前日本最大の客船になるはずが空母隼鷹・飛鷹として完成した橿原丸と出雲丸。その客船としての姿、特にインテリアを様々な資料からまとめる覚え書き。C95で出した本から両船のカラースキームや図面を大幅に増やした改訂版。
目次など内容の詳細は参加告知を参照。

出雲丸一等喫煙室のカラースキームのように他ではほぼ見かけない資料を多数掲載でき、また、なるべく担当者自身の記述を集める方針でいたので雪野元吉の『変遷史』や本野精吾のニューヨーク港視察記などを参照・引用できたのは大きい。
改めて見直してみると、橿原丸のみならず天洋丸や新田丸など他の客船も多数取り上げているので「日本の客船の和風インテリアについての本」としても読めると思う。

【今後の予定:橿原丸】

内装については現状出来る範囲で調べられるだけは調べたので一段落として、フネとしての特徴や大型優秀船建造助成施設など内装以外の覚え書きを出してその後橿原丸全体のまとめに移行する予定。
その頃にはタイトルから「覚書」を取っ払える、と信じたいところ。ただし完成の見込みは全く立っていないので気長にお待ちいただけると幸い。

【今後の予定:次の本】
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↑サークルカットの元ネタは欧州航路の1937年度時刻表の表紙。ここまで漠然としていれば天洋丸を出せなかった今回のような事態でも対処できるだろう…という消極的な姿勢も。

次のC98はGWコミケということで間もないので「絵葉書やパンフレットなど手持ちの紙物資料を集めて、客船の黄金時代をビジュアル的に触れるフルカラー本」という箸休めな小品の予定。
橿原丸本は「こんな本読むぐらいなら知ってるよね!」のノリで突っ走ったものだから、どの航路にどんな客船がいてどのようなものだったのか、これの紹介が決定的に欠けていた。なので息抜きも兼ねて博物館のコレクション展のようなノリ(もちろん質量ともに比較にならないが)で紹介したい。
この前ついに買った念願のノルマンディ特集の雑誌も動員できたらいいなあと…そのためには非破壊スキャンを導入せねばいかんが。
2019/12/15

C97参加告知

12月24日編集。新刊の値段変更。
イベント:12月31日開催コミックマーケット97
スペース:西2ホールす06-a
サークル:寝古鉢鉄工所

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新刊:橿原丸と出雲丸の覚書 内装編 改訂版:2000円
B5、カラー口絵8ページ、モノクロ口絵14ページ、本文72ページ
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戦前日本最大の客船になるはずだったが空母隼鷹・飛鷹として完成した橿原丸と出雲丸。
その客船としての姿、特に「現代日本様式」で展開された内装を建築家や造船所、百貨店など設計に携わった人々の視点や図面、カラースキームから現状できる範囲でまとめる覚え書き。

・「橿原丸」「出雲丸」
それぞれの公室や特別室を誰が担当したか、どの書籍で言及やカラースキームの掲載を見られるのか、その建築家や造船所、百貨店は客船の内装とどのような関わりがあるのか。
また、防衛研究所が所蔵する図面により検討する。

・「あれやこれや」
内装以外の橿原丸に関するあれこれを列挙したもの。設計図の空白、ポスター、橿原丸以前の大型船計画(浅間丸以前にも2万トン級を計画していた)、ライバルになるはずだった外国の計画(橿原丸以上に露骨な空母予備船もあった)、東京五輪側の視点、内装の実現性。

・「日本側によるデザイン‐橿原丸前史」
橿原丸、ひいては現代日本様式以前に日本側が内装にどう関わったかという話。大きく分けて天洋丸(全輸入とも言われるがどの程度関わったのか)、常陸丸・賀茂丸型・伏見丸(広がりつつある和風インテリア)、浅間丸・氷川丸(輸入を決めた内装選定と当時の技術の認識)の三つ。

本書は2018年冬コミC95で出した『橿原丸と出雲丸の覚書 内装編』の改訂版だが、前回掲載した橿原丸一等社交室に加え、カラースキームや図面を各方面からさらにお借りすることで掲載図版を大幅に増やした。カラースキームはカラーで掲載することで前回に増して「具体的な」内装を直に伝えることができる。掲載許可をしてくださった皆様方には感謝しかありません。

今回掲載することができた資料を見ても客船インテリアの第一人者である中村順平、数々の有名建築を手掛けた村野藤吾、モダニズムの先駆者本野精吾、国会議事堂の吉武東里、そして住宅からホテル、御用邸まで幅広く手掛けた高島屋と豪華なメンバーが揃っている。いかに橿原丸が国家的事業だったかおわかりだろう。

特に出雲丸一等喫煙室は近年吉武東里の遺品から発見された物で、客船方面で取り上げるのは本書が初めてと思われる。
吉武東里は『豪華客船インテリア画集』等で橿原丸一等エントランス・ギャラリーの担当は知られていたものの出雲丸には関わっていないと考えられていた。しかし近年遺品から造船番号「660番船」が記された資料が多数発見されたことで出雲丸への関与が判明した
本書ではこの出雲丸一等喫煙室や天井画などの関係資料、去年所蔵元に寄贈されたばかりの橿原丸一等エントランス別案のカラースキームも取り上げ、吉武東里が国会議事堂(これまで知られていた塔のデザインだけでなく内装など広い範囲に関わった)や御料車などで見せた特色がどう表れているか等も触れる。

また、橿原丸・出雲丸以外の客船も手持ちの写真や絵葉書、パンフレットなど(無い客船は国会図書館の所蔵資料)から豊富に引用することで、今の客船とは大幅に違う「国家の船」たるオーシャンライナーのインテリアがわかりやすくなったはず。

もちろん本文にも力を入れたのでその結果前回の倍近く、100ページの大台に乗ることになった。
前回買ってくださった方も満足すること間違いなし!…多分、きっと。

【掲載カラースキーム】
・橿原丸
一等エントランス:吉武東里
特別食堂:高島屋
「喫煙室」:高島屋
特別室寝室:高島屋
特別室居間:高島屋

・出雲丸
一等社交室:本野精吾
一等喫煙室:吉武東里
貴賓室寝室:高島屋
貴賓室居間:高島屋

【掲載図面】
橿原丸1/200図面、1/100図面
橿原丸一等社交室:中村順平
同一等喫煙室:村野藤吾


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↑本書で客船の外観が載る数少ないページ。後はブレーメンぐらいか。
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↑主題について知るには主題そのものだけでなく前史もまた重要であると考える次第。

【主な掲載船一覧】
常陸丸
天洋丸
春洋丸
熱田丸
伏見丸
長城丸
緑丸
菫丸
浅間丸
秩父丸
あるぜんちな丸
ぶらじる丸
新田丸
八幡丸
春日丸
報国丸
愛国丸
(参考程度に西京丸、カイザーヴィルヘルムⅡ、ブレーメン、ノルマンディ)



既刊その1,合衆国汽船コロムビヤ號案内:400円
A5、本文28ページ
初出:2018年ディズニープチオンリー"Dparty!"
表紙

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戦前に船会社が船客のために出していた航路案内や船内案内などのパンフレットは船旅における日常の一端を伝える資料でもある。もしも東京ディズニーシーの客船コロンビアでも同様に船内を案内するパンフレットが実際にあったら…というパンフレット風同人誌。
時代設定を現物の1912年から進めた第一次世界大戦後に設定して作り込みやバックグラウンドストーリーと歴史上の客船の写真やデザインを掛け合わせて作り上げた、いわばコロンビアが主人公の一種の二次創作。


既刊その2,合衆国汽船コロンビア号:1000円
B5、本文72ページ
初出:2016年夏コミC90
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東京ディズニーシーで一番の巨体を誇る客船コロンビア。黄金時代の遠洋定期船(オーシャンライナー)を体感できる創作物であるコロンビアについて歴史を反映させた作り込みやストーリー、実在の客船とのつながり、製作者の意図など豊富な文献と写真を用いて考察する。