2015/02/27

『テーマポートの住人』についての覚書

あくまでも暫定的覚書。

ディズニーテーマパークにおける他の遊園地と決定的に違う重要な要素として一つ挙げるならばバックグラウンドストーリーのほかは無いだろう。パークのあちこちにそこに住んでいる人々の存在を感じられ特にTDSではその傾向が顕著だ。
しかしTDSを題材にした物語は『シーオブドリームス』『Sea Side Story 7つの港 11の恋』『恋するイブ』などいくつかあるがテーマパークとしてのTDSが舞台であり世界観そのものを題材にすることは無い。
あくまでテーマパークで楽しむための添え物なのでそのもの単体をピックアップするまでも無いということだが、それにしてももったいない話である。ならば遊園地としての側面ではなくテーマポートの世界観を重視しバックグラウンドストーリーを楽しむ一環として各ポートの住人に着目しても面白いのではないだろうか。

・先人、定義
もちろん自分の独創であるはずは無く以前から大勢の方々が手がけている。
初めてお見かけしたのは『中年男が一人ディズニーシー』
オーバーザウェイブやミステリアスマスカレードを『Weblog・TOPOLINO New』が詳しく語っておられる。
ツイッターやPixivのTDSタグ、手書きブログのDisney-ディズニー-リゾートタグ
で展開されている方もいらっしゃる。
karrie氏のまとめ東京ディズニーシーのオリジナルキャラクターリスト
ここでは「アトラクションショーアトモスの登場人物、作り込みやバックグラウンドストーリーに名前がある人物、作り込みから想像できる者」を住人と称する。
現地で辿るのが一番だが体力の限界はあるし時間の壁は越えられないので書籍やHP、YOUTUBEを手がかりとする
『海の絵本』『東京ディズニーシー物語』『旅する東京ディズニーシー』『ディズニーリゾート物語』『ディスカバー東京ディズニーリゾート』ファンダフルディズニー会報

1.アトラクション
タワテラ (3)
↑タワテラオープン時のチラシ。普段脚光を浴びるのはハイタワーのジジイだけだが両脇の二人も重要人物

過剰なまでにバックグラウンドストーリーが充実するタワーオブテラーは一番とっかかりやすいだろう。
金メッキ時代の残照ハリソン・ハイタワー三世を筆頭にホテルを残すためニューヨーク市保存協会を設立する合衆国汽船令嬢ベアトリス・ローズ・エンディコット、ホテルの取り壊しを主張するニューヨークグローブ通信の記者マンフレッド・ストラング等人物が勢ぞろいしている。保存協会と新聞社は四六時中対立しているようでその様子はオチェーアノで協会員と新聞記者が寸劇を繰り広げるエクスプロア・ニューヨーク(2006)からも想像できる。


デイビス
↑ファンダフル会報9号よりデイビスとスコット。この号は他にもベースに触れたりするなど貴重な内容

ポートディスカバリーの基幹を成すストームライダーのパイロットを努めるデイビスはPixivにおけるパークキャラの中では枚数が一番多い人気者だ。見えづらいが一応姿が見え一番ゲストに声をかけること、2番機のスコットとの掛け合いからもっともキャラが掴みやすいからか。一見おちゃらけな若造だがよくよく注意してみると真っ先に搭乗者の安否を確認するなど案外しっかりもののパイロットなのだ。

2.ショー
演出者をパークのダンサーではなく彼らの演ずるキャラクターとしての部分に注目しよう。

オーバーザウェイブ(2006―2010)の主人公トニオとマリアはコロンビアに密航する前はウォーターストリートにたむろしただろうし、またタートルトークのカッタウェイやデッキプランから船内の逃走経路を考察できるはず。
ドリームカンパニー(2009)の場合ドナルドの声楽教室はブロードウェイにありそうデイジーが主人の中華料理店はここら辺だろうかなどアメフロ中で本編におけるマーガレットの奮闘振りが想像できる。
また具体的な名前を持たずともポルトパラディーゾ・ウォーターカーニバル(2001~2006) ケープコッド・ジャンボリーナイト(2005)は規模が違えど両者ともいかにも地元に伝わるお祭り感があり好ましい。
ホリデーグリーティング・フロム・セブンポート(2013~2014)は正直難しいなあ。色違いにしか見えないのだ。各ポートのアトモスが出演した東京ディズニーシー1stアニバーサリー・セレブレーションの方が

3.アトモスフィア
開園当初26もあったアトモスは宝庫。Rogermosphere氏がYouTubeに過去のアトモスをアップされているが、
特にハーバーのメイヤーは何もせずぶらぶらするまさに文字通りの空気!
イベントのアトモスも見逃せない。
シーズンオブハート(2007~2008)とアラカルト(2007~2008)はアトモスが充実したイベント
シーズンはハーバーを中心に展開。
http://blog.livedoor.jp/smof_4_pajama/archives/cat_7098.html
現在ダンテ・ナーンテのみは動画が複数アップされている。
ゴンドリエのマリオを是非見てみたいなあ。

アラカルトではハーバーとアメフロでいくつも展開していた。
フェスタ・ピノキオ
チョビのグロットへようこそ
*灰汁まにあ*
ニューヨーク・インターナショナル・フェア
TDR航海日誌2
今から振り返ると非常に豪華なイベントだった。
近年ではフルータ!フルータ!フルータ!(2014)はロストリバーデルタ周辺の地元農家がインディ言うところの「観光客」相手に商売といった趣。ニューヨーク・ハロウィーン・フォリーズ (2014)のスケルトンは…スケルトンじゃなかったら200点だった。いや本当に惜しい。

4.キャスト
一般的に巷で称賛されるホスピタリティなどのいわゆる「キャストの世界観」ではなくストーリー上の役割。
タワーオブテラーではニューヨーク市保存協会員、海底二万マイルやセンターオブジアースならばネモクルー、要塞はS.E.A.会員となりインディジョーンズはいかにも怪しげなパコの配下。
一時ツイッターで「キャストキャラ化」が行われていたがはたして何年前だったか。
ネモクルーの普段の活動はスピーカーからのアナウンスで窺える。




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↑案内中の協会員。風景に溶け込むキャストの姿が大好きです
保存協会会長のベアトリスはシリキ・ウトゥンドウの呪いを否定するが協会員の間ではどうなのか。見たところ否定派肯定派の双方がいるので興味深い。
ミステリアス・マスカレード(2009~2010)のMCマーク・オーメンとカミーラ・カーメンはむしろこっちに属するか。できれば2009年版を推したい。「会長からの伝言がある!」


6.ショップ・レストラン
アトラクションのみならずショップやレストランも同様。
スクルージと同じく店を開いた移民であるれすとらん櫻の主人チャーリー田中は、日系移民の居住地といえばロサンゼルスやシアトルなど西海岸が一般的だがどうしてニューヨークに着たのか。そこに想像が広がる余地がある。
ケープコッド・コンフェクションは「伝統行事『クックオフ』に参加する村の消防団が、スウィーツとドリンクを販売する特設カウンター(公式サイトより)」だが、屈強な消防士が甘いドリンクやいわゆるギャップ萌えという奴ではあるまいか。

5.キャラクター
自分が普段疎かにしているディズニーキャラクター、彼らもまたポートの住人には違いない。
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↑店内のスクルージ像。これで「ちょっとした贅沢」というのだから恐れ入る
アメフロのマクダックデパートメントストアはスクルージ・マクダックがゴールドラッシュで得た富を元に商売を始め質屋、卸問屋と成長させ人生初の贅沢で開いた百貨店であり店内に痕跡がある。
ミッキーマウスだってコロンビアの船長(セイルアウェイ)等々その時々で様々な住人となる。キャラグリに出る姿もブロードウェイのスターと考えれば混雑具合に納得がいく。

7.史実、原作
史実や原作と食い違う部分が多数あるが、粗探しではなくむしろその隙間を埋める方向に想像を働かせるとなかなか楽しい。
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テディルーズヴェルトラウンジのモチーフとなった26代大統領セオドア・ルーズベルトはタートルトークのニューヨークグローブ通信によれば合衆国汽船社長と友人だがそれ以外にもコミックではスクルージと浅からぬ縁があるのだ。スクルージ マクダックさんとDisneyブログ
コミック自体二次創作のようなものなので三次創作になるがまあ気にしない。
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↑二万マイルの海図にはアロナクス教授の名前が見える
ミステリアスアイランドの原作の登場人物である海底二万マイルのアロナクス教授と地底旅行のリーデンブロック教授がミステリアスアイランドでどう絡むのか。特にマッドサイエンティストたる後者がどのような反応を示すかが見物だ。

8,作り込み各所
ここまでは姿が見える住人を挙げたが姿を見せない住人たちも当たり前だがいる。
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特にアメフロはそこら中にウィンドウや広告があるので想像し放題。いくらでも見つけられる。
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スチームボートミッキーズ裏の留守にしている歯科はどのような人物だろうか?

視覚のみならず聴覚にもまた訴えてくるものがある。ロストリバーデルタのラジオをよく聞いてみるとインディにコーヒーをプレゼントするレイムンドコーヒーのCMや放送局ラジオCRPのアナウンサーがこぼす一言が効いてくる。しれっとパコが魔宮ツアーの宣伝を出しているのも見物。

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姿だけでなく名前が無くても具体的な手がかりは作り込みを見渡せばいくらでもある。
アメフロのウォーターストリートで見かけるガス灯(本物!)には明かりを点す点灯夫が付き物。しかしブロードウェイやトイビルトロリーパークではネオンがきらめきガス灯はウォーターストリートに残るのみ。ならば「明かりが満ちるブロードウェイを妬む点灯夫」がいても構わないはず。
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↑33番桟橋に着岸するセントエルモ
船員向けの安宿セーラーズアームホテルで一夜の休息を取る貨物船セントエルモの下っ端航海士。

あるいは具体的に引用せずとも雰囲気から想像してもいい。
戦前のニューヨークといえばギャングが闊歩する狂騒の20年代は物語としてわかりやすいのではなかろうか。
正確に言えばアメフロの年代と違うが、「暗黒のイメージ」を嫌って第一次世界大戦前に変更した公式からしてショーはビッグバンドビート(2006~)やクリスマスインニューヨーク(2002)などどれもジャズを多用しているのだからどこに遠慮する必要があるというのだろうか。
……正直なところを申せばほんの少しは気にして欲しいが。
ともかく、史実を知ればよりTDSを楽しめるので「ディズニー以外」の知識も重要だ。

9,組み合わせ
これらを組み合わせてストーリーをつむぐことが可能だと考える。
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↑ブロードウェイのカールッチビル。この三階に保存協会が陣取っている…という設定(tot1899.com)
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↑一階のショーウィンドウの中。会長の絵があったら面白いがそれは我が妄想だ
カールッチビル三階のオフィスに上がろうとするニューヨーク市保存協会の面々が一階に入っている帽子屋にしょっちゅう捕まって新作の実験台になっているかもしれない
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あるいはドリームカンパニーのマーガレットとイースターインニューヨーク(2012~2014)のショーガール三姉妹が舞台の合間にニューヨークデリのテラス席で昼食を取っているかも。
作り込みを舞台に様々なショーアトモスアトラクキャスト全てを縦横無尽に組み合わせるとより一層MOUSOUが捗るのである!

10,TDLの場合
ここまでTDSを見てきたがTDLも同様に充実している。
例えばマウスカレードダンス(2010)のジプシーはシンデレラブレーション(2005~2008)のアトモスジプシープレイヤーズのアレキサであることから両者を結びつけるも可能。
ワールドバザールの各ショップも統合前は詳細なストーリーがありクリッターカントリーもキャラクターたちの痕跡が見受けられる。
パレードならばリ・ヴィランズ(2009)のダンサーは長編と絡めやすいだろうしホーンテッドマンションを題材にしたハッピー・ホーンテッド・パレード(2007)も膨らませやすい。
書籍は『ディズニーランド大ガイド(1997)』『東京ディズニーランド意外発見ガイド(2000)』『ショッパーズガイド(1995)』『トゥーンタウンガイドブック(1996)』が挙げられる。これらは中古では見かけないが図書館に行けば大抵みつかるし、地元にあらずとも相互貸借を利用すれば取り寄せてくれる。

11, 公式は?
公式と考察と想像は別腹 
作り込みならば公式がまったく触れなくても史実という確固たる元ネタからある程度探れるが、バックグラウンドストーリーはあまり触れられない上キャストの話してくれるストーリーもゲストを楽しませるためいろいろといじっている、らしいように彼らの胸先三寸で決まるのでイマジニアに聞かない限りどうしようもない。
詳細なバックグラウンドストーリーが流布するホーンテッドマンションにしてもあれは非公式であり当初はマダムレオタともう一人しか名前が無かったし、大体タワテラだってアトラクション本体は尻切れトンボなのだから各人が想像するしかない。
だからと言って疎かにするのもどうかと思うので「これが公式!」と金科玉条に振り回すのではなく「公式ではこうだが自分はこれからこう想像する」と最低限確実に公式とわかるものと想像を分別するのが精神衛生上よろしく過ごせるコツ。

・想像なので違いが出るだろうがむしろ差異こそ醍醐味では?
例えばミステリアスアイランドではネモクルーの態度が原作から180度転換している上アロナクス教授を知らなかったこと、ネモ船長が一度も姿を表さずそもそも映画では極端に隠蔽していたはずなのにどうして公開したのかという疑問から「ミステリアスアイランドはヴァルケニアが爆破されノーチラスが沈んだ後ネモ船長の研究を知るアロナクス教授がひそかに後を継いで再建した映画と直結する世界説」が唱えられる。自分の場合「映画で海軍がヴァルケニアを見つける要因となったネッドの瓶入り手紙が見つからずアロナクス教授が世間の説得に成功したパラレルワールド」と影武者説とまったく逆の考えだが、キャストが教授を知らなかったことを単なる無知と片付けるよりよほど楽しいではないか!
またストームライダーのベースは姿を見せないためPixivで描かれる姿は千差万別で非常に興味深い。一時期人工知能説で盛り上がったと記憶するがこれもまたありだろう。

11.どうやって楽しむ?
脳内に留めるもよし考察、設定、SS、イラスト、漫画なり自由な形でツイッター、pixiv、HP、同人どこでも公開するもよし。
複数人で共有すればシェアワールドのごとく展開できるかも。異なる想像をぶつけ合えば昇華され新たな想像が生み出されるはず。
Pixivで住人を展開する企画が一度発案されたが毎度お馴染み「著作権ヤクザにPixivが襲われる!」と騒がれ叩き潰されたのが惜しまれる。それが本当だったらお膝元のdAなんてとっくに無くなっているわ!
時代インも変化形?装備を整え現地で楽しむ類のTRPGがあると聞くからそれに近いかもしれない。
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↑トランジット乗り場のすぐ脇にある保税倉庫
TRPGといえば突飛な思いつきだが、ケープコッドにはラブクラフト保税倉庫があるのでここからクトゥルフとシリキ・ウトゥンドゥが肩を組んで襲ってくるTRPGはどうだろう。 クトゥルフ神話やTRPGをよく知らないので成立するか自信を持てないが…

12結局何が言いたいのか
・要はMOUSOUの方法論
・数々のショーやアトモスを過ぎ去った過去の存在として切り捨てるにはあまりにももったいない。スケルトンばかり人気が集中するが昔だっていろいろあったんだぜ……
・作り込みはそこにあるだけではない。ましてやお地蔵様の屏風でもない
・「何々にネズミーのダンサー衣装を着せてみた」「何々が出銭に遊びに行った」はしょっちゅう見かけるが、もう少しそのものに目を向けてもいいんでない?

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