2017/05/08

同人界隈におけるディズニー忌避風潮4:定着の過程

目次
12,無数の引き合い
13,「父よあなたは強かった、だから貴様も草をかめ」
14,ヒーローマン


12,無数の引き合い
特に理由のない引き合い、流れ弾がディズニージャンルを襲う!

先の記事ではキングダムハーツのマナーサイトを挙げたが、キングダムハーツやディズニーと関係ない同人の話題でも間違った認識で引き合いに出す例は数知れない。一見まじめに考察するサイトでもディズニーは全くの埒外。根拠はいつも通り印象論と印刷所の自主規制、プールの絵だ。
この調子でWikipediaから知識人、他ジャンルの学級会等々ありとあらゆる方面から流れ弾を喰らい続ければ嘘も常識として確立するのも当たり前というものである。


ディズ○ーについて - 同人関係諸問題の基礎知識・同人活動と著作権(2002年6月2日)

ディズ○ーについて
千葉に「ランド」と「シー」という二つのテーマパークのある、「○ィズニー」に関する話です。多分あの会社関係の作品が好きと言う人はかなり多いと思いますが…
かの版権会社は、小学生が描いた「ミッキー○ウスの似顔絵」にまでいちゃもんを付けて金を取ろうとするところなので、売る本やグッズはもちろんとして、無料配布モノもダメですしペーパーにちょこっと描くのもおそらくマズいです。現在唯一といえる、「同人活動絶対禁止」のジャンルです。
なお…「擬人化」の場合も、「触らぬ物にたたりなし」であることを考えると、不特定多数の目につくところ(=ネットでの公開、即売会での展示など)では行わないのが無難でしょう。(FAXでのやりとりなんかはもちろん自由ですけどね)



斎藤環『おたく神経サナトリウム』おたく神経サナトリウム - 斎藤環 - Google ブックス
ディズニーや『サザエさん』の同人誌が存在しないのは、なにも「ムーラン萌え」や「ワカメちゃん萌え」がいないせいばかりじゃない。すぐ摘発されるからだ。(初出:2002年6月)

↑同氏は『戦闘美少女の精神分析』でも「『ディズニーおたく』は原則として存在しない」「思春期以上の男性は、カップルでなければTDL入国資格が無いことも周知の通りだ。典型的オタクならば、まずこの資格の時点でつまずく公算が高い」「『ディズニーおたく』は存在しない。これはおそらくたまたまそうなのではなくて、原理的に存在し得ない」とするが、前世紀からダンサーオタクのサイトが存在したり(例:苗ぞう写真館(1999年2月22日)TDLによく行く人たち(笑)に関する諸考察 その7 - 2ch)後に示すように18禁同人誌も当時からあるので間違い。 「日本一萌えに詳しい精神科医」もこの程度の認識でしかない。

AIDE新聞>第39号(発行:1999.5.1 Web版:1999.5.22)- 共信印刷
ディズニーの同人誌はディズニーランドでは売っていない。
K: 過去に、ディズニーでミニーマウスがおっぱいを出しているって言うパロディの絵を描いた人がいたらしくて、まあ冗談で描いたんですけれども、キャラクターの清潔なイメージを損なったということで、ディズニーから告訴されました。今ディズニーのパロディをするという人はまずいないと思うのですが。まあうかつにやるとすぐに逮捕されちゃうだろうな、っていうのが、うすうす皆さん知っているからこそやらないんです。日本の著作権者は、ファンに甘いから、やらないだろうとていうことで、大きくなっていったのが、現在のマーケットなわけですよ。風向きがいま変わりそうだって言うことを、肝に銘じて欲しいです。気に入らなければ、雑誌社は、版権元は、コミックマーケットなどに対して同人誌の取り締まりを要求してくる可能性もあるわけです。

↑発言主である「権利関係に詳しいKさん」の詳細は不明だがキングダムハーツ以前からこの認識があったということはわかる。この時期にダン・オニールの『エアパイレーツ』 は珍しいが、カウンターカルチャー全盛期に流行したアングラコミックスの文脈の話であって現代の同人誌に持ち出す話ではない。エアパイレーツについては【閲覧注意】ミッキーマウスのエロ同人誌! ダン・オニール『エアー・パイレーツ・ファニーズ』について - TogetterまとめCiNii 論文 -  アンダーグラウンド・コミックスの政治学 ディズニー帝国への文化戦争 (白井洋子教授 記念論文集)、ドキュメンタリー 『ザ・ヒストリー・オブ・アメリカン・コミックス』等を参照。


個人サイトの画像利用について(僕秩:ハム太郎の場合)

ですが、二次創作が危険とされているものもあります。
任天堂系、ディズニー系などです。
ディズニーが著作権に執着しているのは有名ですが、ポケモンで同人誌を作った同人作家さんが過去に逮捕されています
(中略)
特に、ディズニー作品・スタジオジブリ作品及びハリーポッターシリーズは、同人誌製作者の側も戦々恐々としているのが現状です。
(中略)
ただ、スクウェアが「キングダム・ハーツ」を出したときに、コミケ界にディズニーのパロは止めろ!という指令が回ったことを考えると、パロに関してもある程度の著作権保護が働く可能性は考えられます。
(中略)
結局、現状の同人二次創作は、著作権者が何も言わない事で成り立っています。
本当は違法ですが、著作権者が訴えないと罪にならない為です。
重要なのは、何処までそれを厳密にするか?であると思います。
絶対に許さないのはディズニーなど。だから二次創作もまったく無い。
厳しいのはサンライズ(ガンダム)や小学館など。
大らかなのは、エロゲーメーカーなどです。




LINK - ちゃしのファンイラストサイト

*出版社等 同人・二次創作に関する意思表明
・Web上パロディを不許可/同人誌不許可を明言。
小学館→画像使用・著作権
学研→版権について→著作物の画像使用等についてのお願い
講談社→版権に関して→著作権・画像使用等についてのお願い
白泉社→画像使用と著作権について
NHKアニメワールド→NHK著作権保護→あんな場合こんな場合
あらんじあろんぞ→著作権についてのおねがい
サンライズ→お問い合わせ→ファンの方々へ→自分で制作した小説やイラストなどについて。
ディズニーに関しては小学校や出版社でも折り合いつかないので、絶対にダメということで、割愛。
*お絵かき部内では権利者からの削除申請のみ受付け、となりますが、実際訴訟問題等起こってますのでやはり描かない方向でと統一しておきます。


↑ほかの企業は記述元を表記するにもかかわらずディズニーだけはスルーされている。

ミッ○ーマ○スは危険だと言われたのですが? - ++ Uraneko
ディズニー社は自社キャラクターの著作権に関して世界一管理が厳しい企業さんです。
イメージを損ねるキャラクターの無断使用はもちろん、ただ画像を無断使用しているだけでも個人に対していきなり訴訟や使用料請求もありえるようです(ディズニー社は、「著作権侵害は見つけ次第提訴する」と言っているようです)ので、著作物の無断使用や二次著作物の作成(同人行為など)は非常に危険です。
特に、ディズニー社のキャラクターの同人行為などはもってのほかです。
もしHPで公開していたら即刻削除しましょう。
ちなみに、ディズニーキャラの同人作品を印刷屋さんに持ち込んでも、印刷すら断られる事が通常のようです。(同人作品の印刷を容認した企業も罪に問われるため)
最近もそれ絡みの出来事がありました(下のコラム参照)。
それだけディズニー社は厳しいという事です。

ちなみに、「比較的管理がゆるい企業さん」でも、キャラクターなどのHPでの無断使用が法律違反なのに変わりはありません。
「管理がゆるい企業のキャラクターなら無断使用してもいい」という事ではありませんので誤解なきようお願いします。
要は、「いきなり訴えられたり使用料を請求されたりする」 か 「最初は注意されるだけ」 かの違いです。


↑西日本ディズニーの件でも「派手な宣伝で気づいた米ディズニー社側か社名変更などを申し入れたが拒否された(日本経済新聞1991年7月19日夕刊)」から裁判に発展したように「著作権侵害は見つけ次第提訴する」はありえない。というかどこでそんなことを言っている?

誓のつぶやき>二次創作と著作権 - 二次創作同人娘のためのアクセスアップ講座(2004年9月8日)
グレーゾーン補足?このジャンルはささやかな活動でも黙殺してくれない?
 上で書いたように、日本の企業であれば、大抵黙殺してくれる活動ですが、中にはものすごく厳しいジャンルがいくつかあります。有名なのは以下のもの。
ディズニー
芸能人
 昔々に著作権でディズニー自身がひどい目にあったせいか、ディズニーは、子供の落書きや、お父さんの日曜大工にまで訴訟を起こします。うっかりキングダムハーツのキャラ(ソラ君とかね)を描いてページに載せようものなら、ものすごい金額の賠償金を請求されます。


↑「子供の落書きや、お父さんの日曜大工にまで」起こした訴訟とは?


↑ディズニーをたとえ話に出てくる鬼か何かと勘違いしているのでは?

【プロイラストレーターと二次創作】任天堂の二次創作についてかなり詳細に調べた結果 _ ぱりことば。
●二次創作を禁止している会社は意外とたくさんある
「ディズニーは、画像転載はもちろん二次創作も超厳しい。描くと消される(いろんな意味で)」
というのはオタク業界で有名な話ですが
(ですよね?)
他の出版社やアニメ制作会社でも、公に禁止を明言している会社がありました。
思ったより多くて驚きでした。

↑2016年にプロのイラストレーターがこの認識というのはさすがにまずくないかい?

13,「父よあなたは強かった、だから貴様も草をかめ」

今まで上げた事例の中に15年前だけではなくここ数年の発言も混ざっていることに気づいただろうか。
「疑うべくもない常識」扱いされていたキングダムハーツ発売当時、全方位から敵視されていた時代に異論を唱えるのは勇気がいることだからそれはしょうがないかもしれない。しかし、いまだ根拠の乏しいディズニー危険論を振り回す人は多い。15年前の忌避風潮は確実に尾を引いているわけだ。



↑「ポケモンやディズニーは二次創作の訴訟事例がたくさんある」ということなので聞いてみたが返事は無し。

↑「ディズニーはコミケの禁止項目に入っている」と主張する方にその文章をどこで見られるか聞いてみたところ「大人の事情だからそんなものはない」とのこと。だったらなぜご存じなのだろうか?

↑「ディズニーはイベントで本を見つけたら販売禁止する」「訴訟になるのを見てきた」などいくら調べても見つからないあれこれを全く「知らん」「若い子」としてはお聞きするしかないが、結局伝聞と印刷所の自主規制が根拠とのこと。「見てきた」はずの訴訟や販売禁止は一体どこに?

筆者は「禁止している」「訴えたから危ない」と断言する方々にたびたびその根拠を聞いて回ったことがある。
ひょっとして自分の知らない事例があったのかもしれない。いや、ここまで誰も彼もがはっきりと断言するのなら無い方がおかしい。自分が見落としたとしか思えない。当時を知らない若輩者からしてみれば調べようにもまったく記録が無いのだからこうして古参の方々に聞いて回るしかない…。
ところがまともな返事はほぼ帰ってこない。「そんなものはない」「詳しくないからわからない」とのらりくらりとかわされるばかり。

では詳しくないのならなぜ禁止や訴訟の事例があると断言できたのか?根拠にしている禁止事項やら訴訟とは何だったのか?
―そんなものはない、単なる言い伝えを鵜呑みにしていただけだ。

↑昨年3月の騒動時に盛んに論陣を張っていた方の一例。どうでもいいと言いつつ「先人が危ないと言っているから」なんて理由にもならない理由で古びた認識をまき散らす、まさに思考停止の最たるものだ。
ご自身も艦これなどメジャージャンルでコスプレをされているようだが、ならば「自分の写真が勝手にROMにされるのは嫌」ということでネット上への公開をやめるのだろうか?艦これの武蔵予想図が勝手にゲーセンのグッズにされた(参照:https://twitter.com/humitan/status/400188972086722560)ようにあらゆるジャンルで起きうるので特にディズニーを禁止する理由にはならない。無許諾でグッズ化する側を無視してされた側に全責任をおっかぶせようとするのはどういうわけだろうか。



↑これもまた理由が不鮮明な線引きだ。「好きなキャラにディズニーのキャラコスさせた」、いわゆるダブルパロディにしてもディズニーをパロディしていることに変わりないがなぜ許さるとお思いなのか?ずっとディズニーは危ないと吹聴してきたくせに着せ替え人形の衣装箱扱いしてガワだけ拝借するのは構わないってのは都合がよすぎる。それに訴訟事例とは一体何なのか?

↑二次創作のみならず本編のコラも大流行したアナと雪の女王とガーディアンズの会社の壁を越えたクロスオーバーカップリング「ジャエル」を知らないとな?(#jelsa _ DeviantArt)。のちにはそれらに加えメリダとラプンツェルとヒクドラを掛け合わした"Rise of the Brave Tangled Frozen Dragons"なんて組み合わせも盛り上がっている(Rise of the Brave Tangled Frozen Dragons | Rise of the Brave Tangled Dragons Wiki | Fandom powered by Wikia)。
それは置いといて、一般向けジャンルだからという理由で性的表現も何もない内容だった件のイラストを危険視するのならば女児向けアニメや少年漫画、子供向けゲーム等々ありとあらゆるジャンルで二次創作が存在する現状をどうお考えだろうか。どのジャンルであっても18禁はゾーニングを守る、ファン活動の節度を保って行動するなど同じではないのか?

↑騒動の近辺ではハイキューに関する下品なツイートを盛んに投稿、数か月後には赤安で盛り上がっている(赤安とはコナンのカップリング)。つまりジャンプやサンデーに連載する少年漫画は一般向けではないので好き放題全世界に発信してもかまわないということになる。…先の記事でもいたなあこの類。
↑興味がないならどうぞご勝手に、ディズニーが嫌いというのならば個人の自由なのだからいくらでも嫌えばいいだろう。しかし30年前の認識で「油を注いで火」を起こそうとするのなら話は違ってくる。目の前の箱で調べる気もないまま「常識」を更新せずご意見番面してデマをまき散らすのならば老害と呼ばせていただく他あるまい。

ディズニーの二次創作を止めさせようとする人たち―ディズニーを畏怖する風潮はなぜ消えないのか? - Togetterまとめ

昨年3月のような騒動時には様々な「啓蒙」が続出するが、実のところ現在では彼ら自身が忌避風潮の二大原因の一つ(もう一つは気に入らない他人を殴るための棍棒程度にしかディズニーを見ていない荒らし)である。
先の記事でも「(形骸化しつつも未だ二次創作の禁止を明言する)サンライズからはお目こぼしいただいているが(そんなことを一言も言っていない)ディズニーは絶対にダメ!」と主張する人の例を挙げたが、これらもまた「それではあなた方が同じように版権ジャンルで活動するのはいいのかね?」で返せるような矛盾する内容ばかり。
彼らは騒ぎが起こるたびに「今時の若者はこんなことも知らないのか」とろくに出典を示さず思わせぶりに語るが、誰もまともな記録を残していないのだから知らないのは当たり前だろう。現在に通用するかすら怪しい、洗いざらい調べないと真偽を確認できない代物を一体どうやって常識として学べと?

なぜこんなことを言えるのか。それは上と同じく根拠なんてものは無く、鵜呑みにした伝聞のみに依っているからだ。
誰だってすべての事象についての認識をリアルタイムで更新できるわけではない。そんな超人なんざめったにいるものじゃないからそれはいい。だったら物申す前になぜ目の前の箱で調べようとしないのか、それが理解できない。あれだけ常識扱いだった「フォークランド紛争で沈んだシェフィールドは天ぷら油への引火から大火災になった」(参照:駆逐艦「シェフィールド」天ぷら火災の謎 - 討死館)にせよ「海軍メイドさん事件」(参照:所謂「海軍メイドさん事件」というネタについて)にせよ更新されたではないか。
認識を更新しようとせず騒動の度にデマを再生産する自称古参もディズニー忌避風潮がいまだに残る要因に間違いない。


14,ヒーローマン
上記の流れを見ていると「女性向きジャンルにありがちな内輪もめ、学級会」と捉える人がいるかもしれない。
なるほど確かにディズニー、正確に表すとパークは女性の方が多いジャンルゆえに学級会が頻発している(キャラやダンサーのおっかけがどうのこうのとか新グッズ発売のたびにこうどなじょうほうせんが繰り広げられたり…ぶっちゃけ他のジャンルと変わりないよね)。しかし男性でも同調圧力まではいかないものの広まった事例がある。
2010年に放映されたヒーローマンは原作のマーベルがすでにディズニーの傘下だったことから「ディズニー版権だから危ない」との認識が広まった。実際にはキャラクターデザインのコヤマシゲト氏によるスタッフ本がコミケで頒布(前記事参照)されるなど否定されたが放送当初は相当根強かった。

つまりディズニー忌避風潮はステレオタイプな「いつもの女性向きジャンルにありがちな同調圧力」ではない。それにTPPをディズニーの陰謀呼ばわりしたり(各自TPP ディズニー 二次創作 - Twitter検索などを参照)昨年3月の騒動で荒らしまわった人が全員女性だとは到底言えない。

ヒーローマン ディズニー until 2010-05-13 - Twitter検索
↑2010年3月から5月にかけてのツイッターを「ヒーローマン ディズニー」などのキーワードで検索してみると男性作家たちが話題にする様子が残っている。





『HEROMAN』の同人誌が同人ショップに委託できない? - 藤堂志摩子のAngel Heart Club

【とらのあなWebSite】王国制服絵巻・上
【とらのあなWebSite】合衆国汽船コロンビア号
とらのあなが拒否したとの噂が流れて(2ch発祥?)「ディズニーだから危ない」論の根拠として扱われていたが、当時すでにとらのあなではディズニーの同人誌が扱われ、現在もズートピア本や筆者の『合衆国汽船コロンビア号』などが委託されているのでとらのあながディズニーを理由に断ったとは考えにくい。現在では他にもアリスブックスやCOMIC ZINがディズニー本を委託している。

これらのようにディズニーは全方面から敵視され続けたと言っても過言ではない。その一方で誰もソースを出さないが、そこまで主張するのならば本当に禁止していたのか?実際に警告を送っていたからサイトも同人誌も存在しなかったのか?
次の記事では公式の動向について触れる。
次:同人界隈におけるディズニー忌避風潮 5:公式の動向
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