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2012/05/26

SSコロンビア概説 5~コロンビアの元ネタは何ぞや?


長らく続けてきたコロンビア概説だがようやく本丸のコロンビアの元ネタについて触れる。このためにブログを開設したも同然であり一種の決算であるので数々の資料をいくつかお借りして書いてみた。長文ではあるがご容赦願いたい。
※2015年5月追記
タイタニックと思われていた写真など各部に誤りがあるので最新の記事および同人誌『合衆国汽船大西洋三軸定期船コロンビア号』(BOOTHにて通販中)を参照していただきたい。3年の月日は長いなあ


内装より
・セイリングデイビュッフェ内のカラースキーム
CIMG2378.jpg

公室で立ち入りできるのはダイニングルームとルーズヴェルトラウンジだがここでは前者に焦点を当てる。
ダイニングルームにパナマ運河を通過するコロンビアの絵画(ということはコロンビアのサイズはパナマックス以下ということか)であるとか会長は『美しいトロピカルなイメージをテーマにするつもり』との日記の著述により中南米のイメージということがわかる。
そこで提示したいのが内装は中南米航路の客船から取っている可能性だ。
たとえば完成する前に空母に改装された橿原丸は時局柄日本の文化を強調した「現代日本様式」でまとめられる予定でありイタリアンラインのコンテ・ディ・サヴォイアはイタリア王朝をイメージした重厚な様式であったように就航する航路のイメージを基調にすることが多いことが理由としてあげることができる。
…ここで具体的な客船を挙げることができればいいのだが、残念ながら海外の船会社の中南米航路はまったく日本語資料が無くせいぜい日本のあるぜんちな丸関連程度しかないのでまったく不明だ。そこでWW1ならこの方!である志郎さんの白鳥の戦いを参考になってほしい。ここでは仮装巡洋艦同士の一騎打ちという史上唯一のレアケースを取り上げられているがドイツ側のカップトラファルガーは当時最新鋭の南米航路船なので参考になるはず。
・天洋丸1908のカラースキーム『豪華客船インテリア画集』より  カラースキーム自体についてはまた後ほど触れる
img003.jpg
またダイニングルームはテーブルがいくつも分かれているが、これもある程度時代を特定できる要素になる。20世紀初頭までの食堂のテーブルは長机でありダイニングルームのテーブルはそれ以降となる。この長机は多数の客を収容できるが、上記の天洋丸で上座下座の問題がいつも発生したようにちょっと古色だったので改められた。よってもうちょっと新しい年代をイメージしたことを推測できる。

・カップトラファルガー1914のウィンターガーデン 白鳥の戦いより
wintergarten.jpg

最後にこれはひとつの仮説だが、ダイニングルームはウィンターガーデンもイメージしていたのではなかろうか?というのもディズニーシークロニクルに掲載されたダイニングルームのコンセプトアートでは椰子の木風な柱の葉が緑色に塗られていたりとより「トロピカル」な内装に仕立て上げられているのだ。このウィンターガーデンとは1888年竣工のシティオブニューヨークで初めて備えられた設備で、熱帯の植物を配置した温室みたいなものである。断面図を見る限り別に一等食堂はなさそうなのでまるっきりウィンターガーデンというわけではないが、当初は両者のイメージを掛け合わせていたのではないかと推測する。

要目・外見より
タートルトークの設計図
PAP_0197.jpg
ダイニングルームの要目Be myself(夏音 亜美菜さん)より引用090205.jpg
内装方面からの攻勢が非常に曖昧に終わったがここでは外見やタートルトーク、ダイニングルームで見れる上記の要目を頼りに候補を挙げてみる。ただし問題は両者の要目がまるっきり違うことだ。なんというかイマジニアさんたち仕事しろ。そりゃ何年もの差があるわけだが統一してくれたほうがうれしいです。とりあえず都合よくうまいところどりをして解釈を試みる。ちなみに前者の23、920トンで検索をかけても得体の知れない貨物船にあたったのみなのであしからず。
1,クイーンメリー RMS Queen Mary 1936 ウィキペディアより
800px-RMS_Queen_Mary_Long_Beach_January_2011_view.jpg
常識的に考えればこれ一択だろう。まずもってコロンビアの見た目はメリーのデフォルメでありディズニーが一時期所有していて本国のシー計画に組み込む予定(『参考文献wikipedia』であることからお察しください)でもあったとなればますます可能性大だ。
しかし問題がある。新しすぎるのだ。下の二隻と比べてみればわかるだろうがブリッジ前面が弧を描いているのが見える。メリーの外見を表した言葉に「ベレンガリアを流線型化したようなスタイル」というものがある。ベレンガリアとはまあタイタニックと同年代の船であり似たようなスタイルなのでそちらを参照してもらいたいが、つまりメリーは流線型時代な1920~30年代の外見であり、エドワーディアンとジャズエイジのファッションが根本的に違うのと同様にWW1前には合わないのではなかろうか。というわけで候補をほかにも挙げる。
2,タイタニック RMS Titanic 1912 ウィキペディアより
RMS_Titanic_3_20120523211400.jpg
1912年という時代を見ればまずこれ…というよりキャメロンの映画によって客船といえばタイタニックとイメージつけられている節もあるぐらいの有名船だ。ダイニングルームの要目にある総トン数はタイタニックとまるっきり同じ46,328トンであり、絵や図から読み取れる重要な点は機関がレシプロエンジンとタービンの両方が使用される複合機関であり、これが共通点だ。この複合機関はWW1前の一時期にハーランド&ウルフで建造された船のみが装備しておりこれを基準とするならば候補は非常に絞られる。…なんですけど、もしもコロンビアがタイタニックをイメージにしているとすれば処女航海は失敗に終わるわけで暗いことこの上ない。そんなものはガルガンチェアで十分だ。それにメリー以上に安直である感がプンプンしてしまい反感すら感じてしまう。よって最後にもう一隻挙げる。
3,ベルゲンランド SS Bergenland 1914,1917The Great Luxury Liners 1927-1954より
columbia1936.jpg
何だこの船は?と思われるであろうが自分もそう思う。しかしスペックを中心に見るとこの船はかなり近いのだからしょうがない。まず所有したレッドスターラインは19世紀半ばから続くアメリカの船会社であり、トン数は上の二隻よりよっぽど近い24,578トン、さらに機関はタイタニック同様レシプロ・タービン複合機関(ハーランド&ウルフ製、つまりイギリス生まれなのには目をつぶる)、おまけに年代はほぼ同じ、そして解体される前の1年間名乗っていたのは写真の通り「コロンビア」と条件は揃っている。ただしこの船とする強力な根拠はただひとつ「俺たちのディズニーがメリーなんていう有名船を元ネタにするほど安直なはずが無い」である。しかしまあメジャーなブルーリボンライナーやヨーロッパの巨船たちではなくアメリカに一般的なサイズの客船もいることを記憶にとどめてもいいと思う。

結論
ここまで見たようにネタは統一されていなく正直なところてんてんばらばらな有様なことがわかるだろう。いわゆるよく訓練されていないマニアである自分としては確固たる元ネタが存在してほしかったがそこまで現実は甘くない。
よって結論は、コロンビアは一時期保有してかつ現存して資料が豊富に存在するクイーンメリーを下敷きにしタイタニックなどの1912年付近のオーシャンライナーのイメージを掛け合わした集合体である。
われながら実にフワフワした結論である。しかし一隻の具体的なある客船をネタにするよりもこっちのほうがイマジネーションが広げられよりシーらしいのではないか、と自分を納得させてみる。

補足
結論付けてみたわけだがこれら以外にも資料はある。たとえば冒頭に挙げたセイリングデイビュッフェにはたくさん資料があるわけでカラースキームはその代表例である。カラースキームとは内装設計者が描くインテリアデザインの原案であり、つまり後付けではあるが会長直筆の可能性がある。これはカールッチビルのドアノブに次ぐ存在になるであろう。一般には知られていないカラースキームを取り上げるとは何と・・・という感慨がある。だからこそ外観は何とかしてほしかったのだが。
次回シーに突撃したならばこれらの資料を基に記事を書くかもだがコロンビア関連はここでいったん打ち止めである。需要があったかはわからんがシーのなかで目立つ存在でありながらなじみの無い客船というものを理解する一端になってくれれば非常にうれしいです。

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コメント

非公開コメント

こんばんは(^-^)
TDRな生活のみっこと申します。
記事、拝見させていただきました。
いや、凄い考察ですね。私はあまり深く考えずに
コロンビア号はクイーンメリーの模倣だと思っていましたが
ここまで調べられているとは驚きです!
他の記事も非常に興味深いですねー。
いろいろ参考にさせていただきます。
楽しいお話、感謝です(^-^)
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